フリーランスの「働き方改革」ってどうなってるの?

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最近さらに聞くことの増えた「働き方改革」というキーワード。

 

現在のところ企業内での取り組みによる改革を情報として見聞きすることが多いですが、個人の視点からすると「フリーランス」として働くという選択肢も働き方改革として気になるところです。

 

そこで、現在日本では「フリーランスにとっての働き方改革」や、「フリーランスになるという働き方改革」はどのような状況に置かれているのか、今回の記事でご紹介していきたいと思います!

 

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(出典:ぱくたそ)

 

 

 

政府も注目するフリーランスという働き方


 

働き方改革を推進する経済産業省でも、やはり「フリーランス」という働き方に注目をしている様子です。

 

同省では 2017年3月、「雇用関係によらない働き方」に関する研究会の報告書を公開。フリーランスや複業ワーカーなど約4,000名への調査の結果からの現状分析などを踏まえ、総括として雇用関係によらない働き方についてこのように述べています。

 

人生100年時代で働き手かが自らのライフステージ合った働き方かができるよう、柔軟な働き方を選択できる社会を創り上げていくことかが必要。また、企業にとっても、単純な人材確保の手法に留まらず、オープンイノベーションの観点からも必要性が指摘されており、「雇用関係によらない働き方」 は企業・働き手双方にとって有用な選択肢となる可能性がある。 「雇用関係によらない働き方」に関する研究会

 

スキル向上や働く環境作りにおいては今後解決すべき課題があるとしながらも、既にフリーランスや複業という働き方は、個人・企業双方にとって有用なものであるという見解を持っています。今後より推奨される働き方として、国として企業への活用促進に取り組むなど、具体的なアクションが期待できそうです。

 

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(出典:ぱくたそ)

 

 

 

フリーランス対象の失業保険でリスク軽減を目指す


 

一方で、フリーランスという働き方は有用とされながらも「今後解決すべき課題」があるという点は、自らのフリーランスとしての仕事を通じて実感している方や、フリーランスという働き方を選択しようか迷っている方にとっても無視できない内容です。

 

特に、フリーランスという働き方をすることで突然の減収や、クライアントとの契約がなくなることで失業状態に陥るリスクが、企業に勤務するよりも高いことは不安要素の1つになっています。

 

この状況に対し、政府はフリーランス約1,000万人を対象に失業保険に該当する制度を整備する提言を発表しました。今年3月の日本経済新聞での報道内容によれば、具体的には以下のような内容が仕組み化される見込みとなっています。

 

損保大手と専用の商品を開発し、契約がなくなった場合にも所得を得られるようにする。今年発足した業界団体「フリーランス協会」に加入すれば、保険料が最大5割軽減される団体割引の仕組みとする。 フリーランス失業に保険、対象1000万人 政府提言(日本経済新聞)

 

契約ルールも明確にする。フリーランスの契約条件が未整備の企業も多く、政府が来年度に基準となる指針を作る。報酬額などは仕事を発注する企業が一方的に決定しやすい環境にあるため、契約書の事前締結や望ましい契約条件のあり方などを示す。退職金の仕組みもあらかじめ明確にするよう求める。 フリーランス失業に保険、対象1000万人 政府提言(日本経済新聞)

 

このような多くの方が不安を抱える状況を打破できる制度があれば、より安心して働き方の選択ができるようになりそうですね!制度施行にはある程度時間はかかるかもしれませんが、今後の展開に期待したい内容です。

 

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(出典:ぱくたそ)

 

 

 

フリーランスの働き方改革を推し進める強い味方・「フリーランス協会」


 

また、フリーランスの失業保険に関するニュースにも登場した「フリーランス協会」にも注目です。クラウドソーシングサービスの普及などを背景にフリーランス市場が成長した一方で、フリーランス人材の多様化によりサポートもより幅広く展開が必要になりました。また、認知度の向上を図り活用促進をするなどの取り組みも求められるようになり、この協会が生まれたようです。

 

今後はフリーランスの働き方改革の旗手として、フリーランスという働き方がより選択しやすく、そして働きやすくなるために、さまざまな活動を行うのだそう。具体的には以下の3点を活動の柱としています。

 

(1)フリーランスの認知向上のための啓蒙活動

・フリーランスに関する調査・研究(定点観測)

・フリーランスに関する情報発信(Web、メルマガ、白書など)

・フリーランスをテーマとしたイベントの開催(トークセミナー、エキスポなど)

 

(2)フリーランスの事業およびキャリア形成支援

・フリーランス向けベネフィットプランの開発(融資・ローン・人間ドッグ・保険・家事代行など)

・事業支援サービスとの提携(コワーキングスペース・法務相談・会計・事務サポートなど)

・スキルアップ・キャリアアップ支援(専門スキルおよび間接ビジネススキルのセミナーの実施)

・コミュニティ形成とネットワーキング支援(職種・地域毎の分科会、懇親イベントなど)

・信頼性向上(認定ロゴ、認定資格制度)

 

 (3)フリーランスの労働環境改善・向上に向けた政策提言

・ガイドライン策定に関する政府・自治体への働きかけ

・制度改正(社会保障、労働法、税制など)の提案

(出典:プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会, https://freelance-jp.org

 

個人がそれぞれの責任で働くフリーランスにとって、このように第三者が介在して、働きやすい環境を共に整えてくれることは非常に重要と言えます。

 

現状は、同協会は2017年4月20日付けで一般社団法人化されたばかりで、具体的な成果が見えてくるのはまだまだこれから。フリーランスの働き方改革の先導役の1人として今後の動きに期待したいところです。

 

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(出典:ぱくたそ)

 

 

今は フリーランスの「働き方改革」のスタートライン


 

今回ご紹介した通り、フリーランスという働き方を取り巻く「働き方改革」は、注目される内容となっているものの、まだまだ始まったばかりです。今後どのようなペースで状況の変化や制度整備が進むかは、まだまだ不透明な部分も多いのが現状でしょう。

 

しかしながら、さまざまな取り組みがこの半年ほどで急速に報道されるようにもなっています。それを通じて、フリーランス働き方が一般的に認知され、そして普及する兆しも以前に比べて感じられるようになりました。今後の具体的な取り組みによって、ますます多くの人が柔軟にこのような選択肢ができる社会になることに期待したいですね!

投稿者プロフィール

村上 萌
村上 萌
静岡県・三島市在住のママライター。 東京で人材系企業に営業として勤務した後、2015年に夫の転勤により南アフリカ共和国への転勤をきっかけにライターへ転身。ライター×教育NGOボランティア×子育てのパラレルキャリアを経て、2017年末に帰国。

現在は1歳の男の子を育てながら、働き方やキャリアに関する記事執筆に加え、伊豆地域の文化振興やローカルニュースの発信も手がける。「ローカルキャリア」が目下の関心テーマです!
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