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記事提供:「助っ人」は起業、独立、開業を応援するメディアです
起業するリスクって実際どれくらいあるのでしょうか。
『起業するリスクは高いから独立出来ない。』という声をよく聞きますが、本当のリスクを正しく考えて、リスクヘッジすることで大きなリスクを下げることは可能です。
「こんな会社を辞めて起業してやる!」
そんなことを考えたことがある人。そしてそれを行動に移したことがある人。
この2つの種類の人の差。それは「起業することのリスク」を考えたということに違いありません。
◆起業する時に考えるリスクは?
起業することに対して多くの人が二の足を踏むのは、リスクが高いと考えられているというケースが多いのは言うまでもありません。
起業から1年目で30%の起業は廃業に追い込まれ、10年で残っている会社は6%と言われています。しかし、これらの数値が気になって起業出来ないっていうのはまだまだ起業には程遠い、ザックリ「起業しようかな」というレベルですよね。
具体的に起業を考えた人ならわかると思いますが、リスクを感じるのは
- 毎月ちゃんと稼げるのか
- 稼ぐ内容は何がいいのか
- 継続的(将来的)に稼げるのか
具体的に勘定をしているはずです。
この段階でなかなか自信が持てない人が多いのではないでしょうか。
今売上を上げることが出来ている、仕事が受注出来ているのは会社の看板があるからではないか。
今のお客さんは会社を辞めても自分と取引をしてくれるだろうか。
何を本業にしていくのがいいのか。儲かるビジネスはなんだろう。
将来大丈夫だろうか。
などいろいろと考えてしまいます。
しかし、ここで自分の営業力やアイデア力を信じて
「やってみよう」
となれば起業のスタート。まさに起業するかしないか分かれ目ですね。
起業は誰でもできる。起業するかしないか「決意」をすることだけです。
◆意外とある起業リスクの種類
大きな問題は起業しても「稼げるかどうか」だと思いますが、サラリーマンが起業をする際のリスクは意外とたくさんあるということを紹介していきます。
◆経営者の保障は経営者自身でカバーするリスク
当然といえば当然ですが、会社にいた時とは状況が変わります。
会社にいた時は思っているよりも手厚く守られていることに気づきます。
給与から天引されていた健康保険や年金など社会保険も自ら加入して、会社分と個人分ともに負担しなければなりません。雇用保険は入ることが出来ません。
サラリーマンであればそもそも年に1度健康診断があるところが多く、大きな病気がないか、健康状態は今どうなのか医師によるチェックする体制が無料で用意されています。「仕事が溜まっているのに健康診断なんて面倒だな」と若い時には思っていましたが、今となってはありがたい話です。自分で起業すれば当然ながら自主的に病院にいくなどして費用を払って(1万円程度から)健康診断を受けねばなりません。しかしながら、忙しいこともあり、なかなかこうした機会を自らつくるのは、何かあってからというケースが殆どです。
仮に病気になったという際も、雇われの身であれば有給休暇があればそれを使用して病院にいくなり、自宅で休養するなりします。もし有給休暇が残っていない、長期で休みを取る必要があるような大きな病気でも病欠という扱いで、月給の半分以上程度は保証される会社が多いと思われます。
起業すれば、もちろん休むも働くも自由ですが、お金を生み出さなければその時点で入ってくるものはありません。長期離脱となる病気は割けたいところですが、自分の思いとは裏腹にそういったことは起こる可能性はあります。
企業の長期休暇を取っている人の大半は精神的な病が多く、各企業ともにメンタルヘルス対策は行っているものの、なかなかその人数は減らない現状なのです。起業する以上、ときには雇われの時以上に強いストレスを感じることがあると思います。強い気持ちと強い意志を持って起業することが大事になってきますし、こういったリスクをリスクヘッジできるような準備をしておきたいものです。
◆起業した時にかかる手間のリスク
起業する時や普段どんな手間がかかるのでしょうか。
起業する前は「こういう風な動きをして稼ぐ」といった営業・販売戦略や商品企画に時間を割くことを中心に考えてしまうものです。しかし、以外な手間がかかってくることものです。
まず、起業する際の手間ですが、株式会社の設立の手続きが大変です。
※詳しくは会社設立のメリット・デメリットから、設立後までの手順のまとめを参考にしていただければと思います。
ざっくりかかる手間としては、
- 印鑑を作成する
- まずは株式会社の基本事項を決める
- 役員の印鑑証明書を取得
- 定款を作成する
- 資本金を払い込む
- 法務局で登記の申請
- 税務署などへ法人設立届出を行う
- 銀行で法人口座をつくる
となかなか大変な作業です。このあたりはよくいろんなところで話を聞くと思います。
他には大きいところだと
- ロゴ
- 名刺
- ホームページ
- 事務所
- 電話
このあたりも同時に準備しなくてはならないかと思います。
また各種手続きが意外と時間を取られます。いかにサラリーマン時代は会社がやってくれていたのかと関心します。
税金関係ですが、個人では所得税、住民税があります。
サラリーマンの時は所得税は自分の給料から計算して、天引きされています。いわゆる源泉というものですね。給与に対していくらと決まったお金を払うことになります。このは所得があがるにつれて税率もあがりますので、調べて計算しなくてはなりません。そして年に2回払う機会があります。これをしっかり忘れずに納付しないと税金滞納となりますので、注意が必要です。
また、住民税は前年の所得に対してかかってくるものなので、サラリーマン時代にかなり稼いでいたりすると結構な金額の請求が一気にドンときます。これは今までは経理の方が役所に毎月割賦で払うようにしていたのが、なくなったためです。
最初の起業でコストがかかるのに。。。と思う方は一括で払わずに手続きを取ることも可能ですが、期限がかなりタイトなので気をつけましょう。
法人では法人税、住民税、消費税が払うものとしてあります。
消費税は資本金1000万円未満だと特例措置もあります。法人税は決算が赤字であれば不要ですが、黒字であれば払わなければなりません。住民税は必ずかかってきます。これは地域によって多少ばらつきはありますが、資本金や売上利益問わず同額です。
個人と法人で税金が5つ!?ということで計算するものも非常に多いです。
※税金の詳細は「起業時に知っておくべき税金に関するまとめ」に詳しく紹介していますので、是非とも参考にしてみてください。
さらには所得に関係して、社会保険にも加入しなくてはなりません。年金事務所というところに必要書類を出して、、、とこちらも手間がかかります。
もちろん従業員を雇うとそれぞれ手続きや計算をしなくてはいけません。
雇用保険にも入らなければなりません。
そして、法人税のところで言及した利益についてですが、確定させるためには「決算」をしなくてはなりません。
売上、かかった経費などを計算して1年のまとめということで、ここまで来るとある程度税理士さんなどの専門家に任せた方がいいと思われます。
◆起業にかかるお金、維持コストによるリスク
最大のリスクであるお金についてです。
※起業にかかるお金については会社設立のメリット・デメリットから、設立後までの手順のまとめにも記載されている通り、30万円弱のお金がかかります。
会社の印鑑は会社設立3点セット:実印、角印、銀行印(1万円~2万円)を用意します。
他にかかるものは
・名刺10,000円~(自分でデザインすれば安くなります。100枚1000~2000円)
・本店住所(オフィス):結構かかると思います。抑えても500,000円程度。
※自宅にすれば0ですが事務所使用が認められていない物件も多いので(詳しくは「自宅兼事務所のメリット・デメリットのまとめ」を参考に)
最初はシェアオフィスやコワーキングを使うのもひとつです。
※参考:関東のコワーキングまとめ 関西のコワーキングまとめ
最近はコワーキングもオプションで登記ができたり、郵便の受取をお願いできたりします。インターネット回線も完備されていて、机や椅子もあるので最初のイニシャルコストを大幅に削減することができます。電話代行もお願いできるサービスもあるので便利です。が、これらも当然毎月の出費になっていきます。
また信用面においても事業が拡大すれば自分の事務所を構えるべきだと思います。
他にはホームページが必須になってくるとは思います。簡単なものでも用意しておくことに越したことはないでしょう。業者に頼むとどんなに簡単で安くても20~30万円くらいはかかると思われます。
最近では自分でつくるテンプレートも用意されているので、手作りで作っていくのもベストです。
いろいろ手作りしていくことで、最初にかかるコスト100~200万円を50万円くらいまで抑えることができます。だいぶとリスクは削減されていますね。
後は毎月のランニングコストです。
先ほど記述したように
- 場所代(電気代)
- 通信代(電話・ネット・サーバー)
- 給与
- 交通費
- 税理士さんなどの専門家の費用
- 接待交際費(交流会、打ち合わせ、会食)
- 備品購入費
- 税金・社会保険
など固定費と変動費がかかってきます。
ある程度でていく費用は決まっているのに、入ってくるお金は決まっていない。
こういう会社がほとんどです。必要なお金に対して、入ってくるお金が足りない。
最初に用意した資金や内部留保、また個人のお金の持ち出し、借金となると何をしているかわからなくなりますね。
◆起業最大のリスク 借金のリスクヘッジ
多分、起業のリスクとして一番イメージしやすいのが、借入つまり借金を抱え込んでしまうということになると思います。
まず、個人の負債と会社の負債は違うということです。特に金融機関からの債務では大きく差が出ると思います。
「会社が倒産して、社長も自己破産」みたいなタイプが多いですが、日本では会社で借入をする際の保全を効かせるのが通例で、会社で借金するお金を社長が個人保証(連帯保証)するため、会社が借金を返せない場合、本人に借金が降り掛かってきてしまうのです。
このリスクを回避するには、
- 借入でなく自己資金で事業を行う(当然ですが)
- 借入でなく投資として資金を集める
- 個人保証が要らない借入を受ける
の3つがポイントになります。
自己資金で事業を行うのがベストですよね。ただ、事業を大きくスケールさせたいとか、事業内容によっては仕入れなど先に資金が必要になる業種などはどうしても資金が必要になってきます。自己資金だけで事業を大きくさせていきたい場合は無理のない時間をかけた経営計画や業種や仕入先、クライアントの支払いサイトを確認しておく必要があるでしょう。(または、とんでもなく売上があがる事業を考えることです。)
投資を受けれ入れる場合ですが、
投資家が何を目的に投資をするのかをハッキリする必要があります。「お金をもらえるのだから、それに越したことはない」と安易に考えるとこちらも違うリスクになります。
VCや事業会社などは事業をスケールさせ、上場というゴールに持っていきたいという狙いから、あなたのビジネスモデルが面白ければ投資をしてくるかもしれません。個人投資家やエンジェルたちもあなたの事業に興味を持って出資を持ちかけるかもしれません。
気をつけておきたいのは、会社の最高意思決定機関は株主総会であり、主要株主の意見がまかり通ります。VCが出資した会社で上場しないと諦められれば、資金の引き上げや倒産させる判断もなされます。他の投資家もしかりです。また、代表取締役の選任も株主総会で行われるので、退任させられてクビということも十分にありうるので、安易な投資は別の意味で気をつけなくてはなりません。
また、個人保証が要らない借入というものも存在します。これは他の保有資産が潤沢で借入に見合ったものがあれば保証なしで貸してくれる場合があるのです。(プロパー貸しと言われます。)起業して最初はこういったバックグラウンドがない人が多いと思うので、「創業融資」を使うのが良いと思われます。
※創業融資や制度融資について詳しくは
創業融資・制度融資の面談対策からQ&Aまで
起業時の創業融資・制度融資の基本~全体像まとめ
に記載されていますので、参考にしてみてください。個人保証を付けずに借入をすることが可能です。
◆起業のリスクまとめ
ここまで、事業の大小や業種などによって借入が必要であったり、個人保証のないお金の集め方もあると記載しました。一番大事なのは、借入を返せるアテはあるのか。このお金が足りない要因はそもそも慢性的で借入で賄ってよいのかなどの判断を間違えないことが重要だと思われます。
そして、起業は当然続けることも大事ですが、このような大きなリスクを表面化させ、借金を背負って死にそうになりながら無理やり続けるものではありません。
「ここまで、落ち込んだら事業を撤退しよう」
と撤退戦略もリスクヘッジする重要な戦略の一つです。
今回は少しでも多くの方が起業してもらいたい意味でも正しく、リスクを理解してそれをただしく起業のリスクマネジメントしてもらうためにこのような紹介をさせていただきました。このようなリスクを吸収できるように様々なアイデアやナレッジを共有させていただき、起業を失敗させないためにこれからもいろいろと学んでいただきたいと思います。
※本記事の提供元はこちら
【参考/引用】
◆助っ人
起業するリスクについて真剣に考えてみた。
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