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『女性の社会進出』
男女雇用機会均等法が制定されて以来(1985年制定、86年4月施行)、既に30年以上が経っていますが、今でも「日本社会では女性の社会進出が欧米と比較して進んでない」と言われることがありますね。
日本の女性の社会進出はZUNNY調べによると、101位/145位とかなり低い方です。
欧米型になることが正しいのか、どうなのか?という意見もあるかもしれませんが、今回はその論点は置いておきたいなと。
今回はダイアモンドonlineの記事「女性は生産性が低い」という誤解はなぜ生まれるのか で触れられている様々な問題について考えていきたいと思います。
◆記事ではどんな論点が展開されているのか?
ざっくりまとめますと下記の内容について触れられています。
・女性の『収入が低い=生産性が低い』という考えか方や認識は現実を見ていない
・会社で活躍して、役員になるのが40代~50代だと介護や受験とかぶるので家庭との両立が困難
・「働き方改革」とともにGDPを現状より100兆上げようとする政府。『GDPがあがる=国民の幸せ』という幻想
・『生産性の高さ』に着目するのであれば、性別分担ではなく、得意な人が得意なことがやるのがいいのでは?
・「よき母親像」が女性の社会進出を阻害している
・ネット社会の出現によって、これまであった男性力を必要としていきた仕事のスタイルは変化している
・女性に足りないのは…男性を巻き込む力
詳しく知りたい方はコチラ
「女性は生産性が低い」という誤解はなぜ生まれるのか (DAIAMOND ONLINE)
前職での経験なども踏まえていきながら、それぞれ考えていきたいと思います。
◆女性の『収入が低い=生産性が低い』という認識の誤り
収益性の低い仕事をしている、付加価値が高くない仕事、誰でもできる雑用業務や事務業務をしている…だから生産性が低く、収入が低いのは仕方ないことだ。
という認識は誤っていると思います。
そもそも「生産性」というのは時間あたりの成果に対して使う言葉だと思います。
単純に収入面だけを切り取って、男女を比較すれば男性の方が収入が高いケースは多いですが、だからと言って男性が女性よりも生産性が高いとは限りません。
男性の多くは長時間労働や休日出勤、自宅での仕事などをこなして高い収入を得ている人も少なくはありません。(もちろん女性にも同様にそういった人はいると思いますが)
定時出勤、定時退社している事務職の女性と比べて時間あたりの給与(時給換算)してみると意外と女性の方が給料が良かったりする。なんてことにもなりかねません。
かくいう私も前職では、
『朝7時に出社して夜終電まで働き、自宅に帰って深夜1時~2時まで仕事をする。。。』
ということが頻繁にありました。
1日15時間くらい働いていた計算になりますが、新人時代は月給25万円程度(見込み残業含む)でしたから
※自宅でやっている事とか、22時以降の就業とかを勤怠に付けるとややこしいので、申告せずにやってました。
・日当換算すると…1.25万円/1日
・時給換算すると…時給833円ぐらい
同期で一般職の人とかもいました。大体月給20万円程度だったのではないかと思いますが
朝9時出社で基本的には18時で退社していました。(時々残業はしてたと思います)
なので、実際は8時間労働/1日ぐらいだったのかなと。
・日当換算すると…1万円/1日
・時給換算すると…時給1250円ぐらい
時給換算すると私よりも一般職の子の方が高かったり(笑)
また15時間労働している(ご飯の時間を抜いて)と言っても、長時間集中力が毎日持つわけなく、平日はいつも睡眠不足に陥っていたので、パフォーマンスも悪かったと思います。ですから「仕事の量が多すぎて終わらない」だけでなく、自分自身のスキル不足やコンディションが悪いため、ダラダラとかかってしまっている。というのが実態だったと思います。
多くの男性にはこういった苦い経験があるのではないでしょうか?
少し横道にそれた話になったかもしれませんが、「生産性」という観点に戻ると
女性の中には『育児/家事をしっかりとこなしながら、日中は仕事をしている』という方も多いはずです。そう考えると単純に労働時間が短くそれに見合って、収入が低い。ということでしかないのではないでしょうか。
また男女において雇用形態が正規/非正規の比率が違うということも考慮せねばなりません。総務省統計局が平成28年に実施した労働力調査によると…
※平成28の調査時点で役員を除く従業員は5372万人。
男性従業員は2926万人
→正規雇用:2278万人(78%) 非正規雇用:648万人(22%)
女性従業員は2445万人
→正規雇用:1078万人(44%) 非正規雇用:1367万人(56%)
女性の方が半数以上が非正規雇用ですから、単純に収入で押しなべて比較してしまうと、男性よりも低くなります。ただ、それが生産性が低いから、というのは記事中にもある通り乱暴な話だと思います。
◆子育て中の女性の「働きたい」という欲求の背景
これは私自身も勘違いしていたことだったのですが、子育て中の女性は本当は「働かなくていいのであれば、働きたくない」と思っていました。
大学時代の女性の友人にも専業主婦になりたい!働きたくない!という主張をする人も割と多く存在していたこともあり、勝手に思い込んでいた節があります。
前職の会社は人材系のベンチャーでしたが、社員の半分近くは女性です。平均年齢も20代前半~半ばと若手の方が多い会社でした。入社した2011年には300人だった会社も、退職した昨年2016年時点では800人もの従業員がいる会社になり、創業から約20年ほど経つ中で、社内では30代の結婚されている女性社員さん達がちょうど出産ラッシュを迎えている時期でした。
前述の通り、勘違いしていたので、子育てをしながら働く女性の先輩社員に
「本当は子育てに専念したいのではないのですか?」
と質問してみました。
すると意外にも
「いや、仕事を日中した方が気分転換にもなって楽しい」
という声が大半でした。
エン・ジャパンの調査でもアンケート結果が色々と出ています。
子どもを持つ女性の「働く」意識調査。 就業意欲の高さと就業率のギャップを埋める方法とは? ―『女の求人マート』ユーザーアンケート集計結果―
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『女の求人マート』を利用する子どもを持つ女性 639名
■調査期間:2015年6月25日~7月1日
仕事をしている/いない女性は半々とのこと。
現在仕事をしていない、残り半数の女性の中で、「どのような働き方を希望するのか?」という質問ですが
『バリバリ働きたい』
『家事や育児などプライベートと両立できる程度に働きたい』
この2つの残り2つの選択肢と少し違い、「より仕事をしていきたい」というニュアンスが強いと思います。
※残り2つの選択肢の意味合いは「できるだけ生活を優先したい」という意味合いかと。
つまり子育て中の女性で働いていない人の77%が「仕事をしたい」と考えているということです。
反対に現在仕事をされている方へ、仕事をする理由を聞いています。
着目したいのは「育児や介護から離れた時間をもつため」の20~39歳の層の選択されている比率が31%と少しですが、他の項目よりも高く出ています。
前職の女性の諸先輩方はどの家庭も核家族世帯で、ご両親の子育ての援助を日常的に受けられる環境ではありませんでした。また、私の友人も核家族世帯で暮らしており、夫婦両方の両親とも離れて暮らしているため、仕事をしている旦那さんが日中は育児に関与することが物理的にできない状況がありました。
四六時中慣れない、子育て(しかも幼児)をする中で、奥様は多大なストレスを感じ、家の中でも旦那さん(私の友人)に怒りや不満をぶつけてしまうことが出産前に比べて増えたそうです。
最終的には、旦那さんの勧めでお子さんが1歳を超えるころには週2,3日は働くことになったそうですが、
子育て以外の時間やコミュニティを持ったことで奥様のストレスは軽減されたそうです。
アンケートで高く出ていた20~39歳の層は、子供の年齢も幼児~小/中学校ぐらいの世代でとても手がかかることもあり、それだけストレスも多いのだろうと思います。
また、記事中でも触れられていた
「よき母親像」
が形成されたのはかつて親子3世代に渡って暮らしていた日本の昔の社会に存在した
女性(母親)の仕事は「子育て」だというものかと思います。
産まれてから死ぬまで同じ村で育ち、死んでいた時代から
大学や仕事で地元を離れて都会で活動することが当たり前になってきた時代に移ったことで
「よき母親」を影で支えていた祖父母の存在(ご近所さんなど)
が失われていっているにも関わらず、依然として古い慣習(認識)に縛られていると言えると思います。
こういった社会が変化していく中で、女性(母親)が置かれている世界観が変わっているので
女性は「子育て」をもっとしたいのでは?という短絡的に考えてはいけないと思います。
アンケートにも出ているように様々な理由で「働きたい!」と思っている人は多いのです。
◆女性の社会進出のためには男性の働き方の改革が必要不可欠
言わずもがな、ということだと思いますが、女性の社会進出には「男性の働き方」を変えていかねばなりません。
これまでの男性中心に形成された日本の職場環境は過酷な労働環境と言えると思います。男女の違いの決定的なものとしては「体力」や「女性特有の生理現象」など、本人にはどうしようにもできない性の違いが存在しています。
ハフィントンポスト日本版編集長の竹下隆一郎さんは部下から生理痛に関して相談されて困ったということをまとめています。
「私、生理痛がひどいんです・・・」 女性部下から告白されて困った(ハフィントンポスト)
社会人3年目の私が、恐る恐る上司に「生理」について話してみた(ハフィントンポスト)
部下である井土さんからの目線でも記事が書かれています。
実際はこういったケースのように相談したくてもできない…なんてことも大半なのではないでしょうか?
こういったケースが現在も存在しているのは、男性中心の労働環境や職場の環境に『女性が入る』からこそ、『女性の社会進出=女性の男性化』とも言える状態になり、男性の働き方に合わせなければならない(男性の働き方がスタンダードになっている)からこそ、言い出しづらい、我慢してでも出社…といった事が起きていると思います。
また、子供を持つ男女(夫婦)間でも、男性の長時間労働によって、女性の社会進出そのものが阻害されてしまうケースもあります。
私の家庭は父、母、兄、私の4人家族ですが、私が生まれる前から父親の仕事は多忙を極めていました。父親は大学卒業後、新卒で現在の会社に入社し、以来約40年間も会社一筋で働き続けてきました。現在は60で定年退職を迎え、有期契約で会社で働き続ける父親はいわゆる昔ながらのサラリーマンです。
母親から聞いた話ではありますが、結婚当初に親会社の破たんによって父親の所属する会社が負債を被ったこともあり、仕事はとても忙しく、結婚初夜のご飯は夜中の2時だったと聞いています。
仕事一筋で、モーレツサラリーマンの父親の仕事の都合で中国に海外転勤(家族帯同)をしたこともあり、私は生まれてから11年間海外生活を送りました。父親の仕事はいつでも忙しく、早朝に出勤しては夜遅くまで帰宅しないということが日常茶飯事。時には出張等で何日もいない…なんてザラです。(60代になった今でも海外出張で2,3週間いないとかもよくあります)
こんな状態ですから、当然母親が一人で家事/育児を全般的にやらねばなりません。母は当時にしては珍しく中国に学生時代留学した経験から中国語をネイティブレベルで話せる人でしたが、父親の仕事があまりにも忙しく私と兄が小学生の高学年になるまでは、ほとんど仕事などができない状態でした。(本人はさほど後悔はしてないみたいですが)
実際に家事/育児をどう分担するかは夫婦ごとに考えていくことかと思いますので、モーレツに仕事をする男性がいても構わないとは思いますが、『女性の社会進出』という観点から考えると、こういった男性の長時間労働によって家庭から出ることができない女性がいることにも目を向けねばならないと思います。
つまり、女性の社会進出を促進するためには男性の働き方の改革が必要であると言えると思います。
◆社会/仕事での合意形成にはロジック(論理)は欠かせないと思う
記事中でも触れられていますが、社会や仕事での合意形成にはロジック(論理)は欠かせないと思います。
「保育園落ちた、日本死ね」というブログが話題になったこともあります。
こういったエモーショナル(感情的)な部分は共感を生むことはありますが、結局社会制度や仕事の職場では、そこに合理性・ロジック(論理)がなければ、採用されることはないと思います。
きっかけになることはできたとしても、どこかでロジックを挟んでいかねば、社会/職場が変わることはありません。現在の社会や職場でも十分権益を得ている人間からすれば、感情的に訴えかけられても、利益(得)が見えない訳ですから賛同できない…なんてことも多いと思います。
どうやって男性を巻き込んでいくのか?
ここは考えるべき所ですね。
さて、長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
女性の社会進出の是非はともかく、今後のトレンドとしては、女性の社会進出はますます進むと思います。そういった状況下でいかに女性が働きやすい環境を得られるのか?また、女性がそもそも社会進出をしやすいように男性の働き方をいかに変えていくのか?
まだまだ考えるべきことがたくさんありますね。
今後も色んな角度から考えていきたいと思います!
【参考/引用】
◆コトバンク
男女雇用機会均等法
◆ZUNNY
「女性の社会進出」各国比較と日本の現状
◆ダイアモンドonline
「女性は生産性が低い」という誤解はなぜ生まれるのか
◆総務省統計局
労働力調査(詳細集計)平成28年(2016年)平均(速報)
◆エン・ジャパン
子どもを持つ女性の「働く」意識調査。 就業意欲の高さと就業率のギャップを埋める方法とは? ―『女の求人マート』ユーザーアンケート集計結果―
◆ハフィントンポスト
・「私、生理痛がひどいんです・・・」 女性部下から告白されて困った
・社会人3年目の私が、恐る恐る上司に「生理」について話してみた
投稿者プロフィール
- 「やりたい」をもっと素直に実現したい!5年勤めたヘッドハンティング会社を16年7月に辞めて、現在は就活サポート・若手社会人のお悩み相談を受けています。新しい働き方のトレンドやまとめ記事など多種多様にブログで発信していきます。
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