目次
『ブラック企業』今ではこのキーワードを知らない方はほとんどいないのではないでしょうか?
電通社員の方の自殺といった悲しい出来事もあり、改めて長時間労働などの是正が叫ばれる中、
今年も2016年度のブラック企業大賞のノミネート企業が発表されました。
第5回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
そこで今回は改めてブラック企業ってそもそもなんだっけ?という話も含めて働き方を考えてみたいと思います。かなりディープな話でもありますので、少し回数を分けて考えていきたいと思います。
まず最初にブラック企業ってそもそもどういうものなのか?
ということろから始めたいと思います。
◆ブラック企業ってそもそもなんだっけ?
「ブラック企業は嫌だよね~」という言葉はよく聞きますが、そもそもブラック企業ってどういう会社なんでしょうか?
背景としては91年以降のバブル崩壊後、日本型雇用が崩れてきたことに発端をしています。
日本型雇用においては「単身赴任」や「長時間労働」など会社の命令は絶対とされる代わりに、年功序列型による賃金上昇や長期雇用、企業福祉などが見返りとして提供されていましたが、ご存知の通りこの形が崩れてきているのです。
既に終身雇用制度に代表されるように安定した雇用継続が絶対では亡くなりつつあるにもかかわらず、単身赴任や長時間労働といった部分が残っていることが今日の問題を引き起こしていると考えられています。
◆何が悪いの?
「ブラック企業は悪い!」と思っている方が大半かとは思いますが、改めて何が問題(悪いのか)を整理したいと思います。
※問題は多岐にわたりますが、代表的なものをまとめてみました。
➀労働環境が劣悪
個人の尺度によって異なりはしますが、基本的には長時間労働が多いのが特徴としてあります。
最近では労働基準監督署(通称:労基)などに駆け込まれないために残業時間などを自主申告させている会社も多く、規定の残業時間以上に超過していると、上司や総務/管理部からの呼び出し・指導を受けるため、個々人でわざと少なく見積もりをして(規定時間以内に収めて)出しているケースなどもよくあります。
労働基準法36条(通称:サブロク協定)で認められている残業時間は
1週間→15時間まで
2週間→27時間まで
1か月→45時間まで
1年→360時間まで
となっているので1週間、5営業日働くとすると1日3時間残業してもOKということになります。基本的には一日の労働時間の規定は8時間なので、残業込みで11時間までは働くことができるようになっています。
ただし、労使間(企業と社員)の話し合いで労使協定が結ばれれば残業させることが可能となっています。そのため月45時間を超える残業が存在するのですが、ひどいケースですと月100~200時間の残業が発生するという事態になっています。
こういった長時間労働の果てに過労死や自殺などがあると言っても過言ではありません。
②給料(賃金)/待遇
先ほどの残業に紐づいた話ですが、ブラック企業では大抵の場合、労働時間に見合った給料が支給されていないケースが多いです。労働集約型の産業におきるケースが多く、それらの業界では人件費(コスト)を削減したいとの意向から、正当に支払われることがないということも。
正確な労働時間を図るためにタイムカードを導入している企業も多いのですが、タイムカードのシステムをなんとかくぐり抜けるように仕事をしているということも良く聞く話です。中には裁量労働制やフレックスタイム制やみなし労働時間制を悪用して、社員の拘束時間を無制限に延ばし、残業代を出させないために導入しようとするケースも。
また給料や賃金の話とは少し違いますが「有給消化」を認めないということもあります。
本来「有給消化」を拒否する権利は会社にはありません。「時季変更権」というものが会社にはあるのみで、申請されれば時期は事情により変更を交渉することはできても、取得しないということに対してNGを出すことは基本的にはできませんが、実際のところは拒否をしているケースも多いようです。
③辞めにくい
基本的には円満退社を望みにくいです。
退職届を受理しないばかりか、懲戒解雇にしたり、退職後に損害賠償請求をされるといったケースもあります。
また、のらりくらりと退職を先延ばしにして、あきらめるのを待つ。離職票を請求しても発行してくれないといった問題もあります。
ただ、こちらも退職届を受理しないこと自体が民法の規定に違反します。
民法では…
と定められています。
しかし、実際のところは上記のような行動が横行しているという現実があります。
◆ノミネート企業を見てみよう
あらかた概要を確認したところで、今回の着想の基になったブラック企業大賞2016のノミネート企業を見てみましょう。
※ブラック企業大賞とは
1.株式会社エイジス
2.株式会社 電通
3.株式会社 ドン・キホーテ
4.株式会社プリントパック
5.関西電力株式会社
6.佐川急便株式会社
7.サトレストランシステムズ株式会社
8.宗教法人 仁和寺
9.ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)
10.日本郵便株式会社
などなど
ノミネート理由などに関してはブラック企業大賞のHPに載せてあるので
そちらを参照して頂ければと思います。
第5回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
12月22日(木)17時まで投票を受け付けており、速報値も見れるようになっています。
※これまでの投票結果
ブラック企業大賞に投票する
ちなみに過去ノミネートされている企業は…
(※敬称略)
<第4回 ノミネート6社>
セブン–イレブン・ジャパン、暁産業、フジオフードシステム、エービーシー・マート、明光ネットワークジャパン(明光義塾)、引越社関東
<第3回 ノミネート11社>
ヤマダ電機、東京都議会 、タマホーム、リコー、秋田書店、A-1 Pictures、たかの友梨ビューティクリニック、大庄、JR西日本、ゼンショーホールディングス、正智深谷高校&イスト
<第2回ノミネート8社>
ワタミフードサービス、クロスカンパニー、ベネッセコーポレーション、サン・チャレンジ(ステーキのくいしんぼ)、王将フードサービス(餃子の王将)、西濃運輸株式会社、東急ハンズ、国立大学法人東北大学
<第1回 ノミネート>
東京電力、ワタミ、富士通ソーシャルサイエンスラボラトリ、フォーカスシステムズ、ゼンショー、 ウェザーニューズ
など、誰もが知っている大手企業のノミネートが多いことが一番調べてみて意外でした。
やはりサービス業、飲食業などのBtoCビジネスモデルで、労働集約型産業の企業がノミネートされていますね。
ただ、このブラック企業大賞も任意の団体として活動をしているため、これが全てという訳でもありません。「ブラック企業大賞企画委員会」も一つの啓蒙活動としてこのような活動を行っています。これらは氷山の一角に過ぎないということを念頭に入れて頂いておきたいと思います。
さて、今回は概要を整理することろ(問題を提起する準備)までというところで
次回にこれらの概要を踏まえて働き方をどうするのか?考えていきたいと思います。
【参照/引用】
◆ブラック企業大賞
第5回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
第4回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
第3回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
第2回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
第1回 ブラック企業大賞2016 ノミネート企業&選定理由
◆司法書士・社会保険労務士・行政書士 みなみ事務所
「会社が退職を認めてくれない(辞めさせてくれない)」という問題
◆キャリアパーク
退職の申し出を拒否されたら?有効な対処法3つ
ブラック企業において代表的ともいえる問題点3つ
◆労働問題弁護士ナビ
ブラック企業となる残業時間の基準と残業代を請求する手順
◆wikipedia
ブラック企業
投稿者プロフィール
- 「やりたい」をもっと素直に実現したい!5年勤めたヘッドハンティング会社を16年7月に辞めて、現在は就活サポート・若手社会人のお悩み相談を受けています。新しい働き方のトレンドやまとめ記事など多種多様にブログで発信していきます。
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